賞を取ったからと言って有り難がるのは良くない
・寺島しのぶに最優秀女優賞!日本人3人目 - シネマニュース : nikkansports.com・映画『キャタピラー』若松孝二監督 戦争と権力への抵抗貫く - 東京新聞:放送芸能(TOKYO Web)
もちろん映画は未見だけど。
全ての新聞が書いているわけではないが、筋書きを見る限り、これは江戸川乱歩の「芋虫」が下敷きであることは明らかだろう。
一方で、監督までもがはっきりと「反戦」のメッセージを意識して製作したことを書いている。
乱歩ファンとしては常識だろうが、「芋虫」は反戦の意図をもって書かれた作品ではない。というかそういうメッセージを織り込むような作品を書くひとではない。
小説は書かれた当時でこそ発禁の憂き目に遭っているけれども、本人がちゃんとそうではないと書いているし、これまでもそういう読まれ方はされていないはずです。私も中学生のときに初めて読みましたが、友人共々、反戦小説だとは思いませんでしたけどね。
しかしこの映画、「芋虫」がベースであれば、原作の意図を歪曲したと批判されても仕方ないし、「芋虫」とは別物と主張するにしても、この設定の酷似ぶりなわけで、それはそれで問題ありでしょう。
っていうところに突っ込みを入れる新聞はないのでしょうか?
いずれにせよ、反戦を訴えるなら、別にこの作品でなくてもいいはずで、乱歩特有の美意識(まあいってみりゃエロ/グロ)の世界が、こういうメッセージのために使われるのは良くないと思う。
言っちゃ悪いけど、小説では、むしろそういう状況を密かな楽しみとしちゃう奥さんとして描かれているわけですよw。そう考えると、なんか以下の話もしっくりこない。
「どこの国でも、戦争で一番の犠牲になるのは女性や子供。前線の撃ち合いや死体の山だけが戦争ではない。一般市民を苦しめるのも戦争だ」
- asahi.com(朝日新聞社):「前線だけが戦争ではない」ベルリン映画祭参加の若松孝二監督 - 映画 - 映画・音楽・芸能
確かに寺島さんは評価されて然るべき、素晴らしい女優さんだと思う。寺島さんが出ているドラマや映画は、安心して見ていられる。が、この映画はどうもそういうことだから見たいと思わない。
江戸川乱歩傑作選 (新潮文庫)
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