イオン、パルコ第2位の株主に
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このニュース、表面的には単なる資本移動という話だけれど、内心穏やかでないのは僕だけではないと思う。
パルコと言えば、80年代、とくに渋谷のカルチャーの情報発信基地だったと言われているし、このことを90年代後半からゼロ年代前半にかけて社会学の本なんかから教科書的に学んだ僕の世代=つまり"渋谷系"的なものの残滓を辛うじて通過してきた世代に取っても、十分に実感のこもった話なのだ。
地元熊本で過ごした中高時代も、市内に百貨店は数店舗あれど、やはり我々10代の間では、パルコが放つ東京的な香り、これは魅力は特別なものだったと思う。(中高生の待ち合わせ場所がだいたいパルコ前だったのは関係ないとおもうけど。今はどうだか知らん。)
たしかにサブカルチャーで言えばパルコでなくても情報収集することはできたし、いまでこそスタバも出来た繁華街ではあるが、当時は大げさではなく、東京的なるもの=とくに僕らには渋谷系的なイメージのフィルターを通してみた東京の象徴、みたいなイメージがあったのだ。
…一言で言えば、パルコって百貨店というより、消費者にとってはメディアでしたよね。(行く行かないは別として、「グランバザール」っていうだけで、ちょっとおしゃれ感を感じちゃうわけですよ。)
一方でイオンといえば、90年代後半から言われてきた"郊外(化)"という単語の持つイメージをゼロ年代に一気に前景化させた張本人のように言われているし、事実、帰省したときに見た、市街中心部の衰退と、郊外の国道沿いにできた巨大なイオン系ショッピングモールの対比はけっこうショックだった。
イオン的な徹底した低コスト・大量生産/大量消費なカルチャーが不況も相まって全国を覆ってしまった今では、これまで地方においてパルコという"媒体"を通じて地方に発信されていた"東京"、もうそういう感覚すら昔のものになったんだろうなあ。
HMVの手書きカードの話ではないけれど、その発想とは真逆の、平板で画一化されたショッピングモールがでーんとあって、中にはファストフードと、POSで効率的に管理された商品群…みたいな、日本中どこへ行っても同じ風景しかないと直感的にわかってしまったら、そりゃ今の若い子も東京なんぞ目指しませんよねえ。
きょうのナンバー:グランバザールの曲がYouTubeになかったから「Baby Love Child」Pizzicato Five(1991)