"限定"という言葉にとくに弱い気がしている。
当初は行く予定はなかったのだけれど、待ち時間が報じられるたびに、これは並んでみないとと思ってしまう。
作品を見たいのか、その熱狂に身を置いてみたいというマゾ的な関心なのかは良くわからないが、外は雨、気温は3度ほどという天候の中、上野へ向かった。

しかし、準備を怠ることはできない。
ネット上には、その行列の凄まじさについての書き込みも大量にあったので、とにかく朝早く行くこと、そして前売り券(買う暇がなかったので、ウェブでプリントするタイプのチケット)を入手しておくこと、これが必須だとわかった。併せて防寒対策もキッチリ。

8時すぎ、鶯谷駅に到着。
そのまま東京国立博物館へ向かう。
門は閉ざされたままだが、券売機の前あたりから人の列が伸びている。
その数、およそ100人ほどだろうか。
しかし、前売り券を持っていて開門を待っている列なのか、券売機に並んでいる列なのかがわからない。
並んでいる皆さんに聞いても、口々にわからないという。

列には、若いカップルや学生風のほか、鑑定団風に"ところでお宝はなんですかぁ?"と言いたくなるような"骨董好きのご主人"風のナイスミドルが多かった。
中には小学生くらいの子ども連れも居たが、この悪天候の中何時間も並ばせるのは少々かわいそうに思えた。

8時40分ごろになり、係員が現れた。すでに僕の後ろには、歩道に沿って長大な列ができている。どうやら、ほぼすべての人が、前売り券を持っている人の列だった。持っていない人はわずか15名ほどだったろうか。そのうちに行列が整理され始めた。

その頃会場に現れた中年男性が、当日券を買った者を行列のどこかに入れろと騒ぎ始めた。確かに、刻々と伸びていく行列を見ていると、当日券を買う列に並び、購入を終えてから、前売り券を持っている人たちの列の後ろに並ぶ、という格好になってしまうから、不公平感を持ったのかもしれない。だが、みなが寒さにじっと耐え雨音しか聞こえないような正門前広場で、「お前名前はなんだ!」などと怒鳴る男性、まさに物言えば唇寒し。

9時を前に、門が開く。4列になり、少しずつ前に進む。9時30分の開館前に入れてくれるのかと思ったが、そこは9時半まできっちり待たされた。

開館後、5分と経たないうちに僕も館内に入ることができた。皆小走りに、まっさきに、"ご本尊"清明上河図へ向かう。まずはこれを見て、そののちに他の陳列品を見るというわけだ。

というわけで僕もその行列に並んだわけだが、ひとりずつ、しかも少しずつしか進まないので、ここからさらに1時間待つことになった。もうすぐそこにガラスケースは見えているのだがw。

そんな折、行列のすぐ後方、途中で座り込み、注意を促す係員に「疲れた!」「椅子もってこい!」などと悪態をつく中年男性。うーむ。こないだ某美術展で中年女性同士が互いにバッグを引っ張り合いながらもみ合っているのを見たが、こういうのを立て続けに見せられると、どうもこの世代は…と思ってしまう。

さて、いよいよ「清明上河図」。英訳された"Riverside Scene at Qingming Festival"の方がわかりやすいが、清明のお祭りの日、開封の日の様子だ。これがもう、縦24センチ、横5メートルの画面の中に、髪の毛ほどの細さの線で、おそるべき緻密さで描かれている。中国における国宝「一級文物」の中でも「神品」と言われるとおり、まさに中国ならではの曲芸的な超絶技巧だ。

待ち時間の疲労もあったせいか、これを見ただけでももうけっこうお腹いっぱいになってしまった。もちろんその他の展示品も、巨大な玉を磨いて作った武器だの、「康煕帝南巡図」だの、ため息の出るような細かさと辛抱強さで作られたモノの数々!中国皇帝の凄さを垣間見た気が致しました。

しかし、6年前に紫禁城へは行ったのだけれど、資料館らしきものは見ずに帰ってきちゃいました。寒いのと中が広すぎて、そんなのどこにあったの?という感じです。当時は今のケータイのカメラよりも画素の低いデジカメで、メモリも32MBとか。北京へもまた行きたいところです。

<特別展>北京故宮博物院200選 | 東京国立博物館 平成館