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■胡蝶の夢
司馬遼太郎は、晩年の15年くらいは、ほとんどエッセイの仕事が中心だったから、「胡蝶の夢」は、司馬遼太郎のほとんど最後に近い長編作品だ。幕末を扱った作品群の中でも、一番地味な、いや知名度の低い作品だろう。

戊辰戦争を幕府側の医師として戦った松本良順 、その学友でありながら、官軍側につかざるを得なかった関寛斎、どこからも弾かれ、しがらみから超然としていた語学の天才・司馬凌海の3人を中心に、幕末の科学者達の様子を描く全4巻です。

当時、学問を発展させることは、かならず江戸という時代の体質とぶつかることになります。
登場人物たちは医師(科学者)であるために、頑迷固陋な官僚体質に陥っている医学界に悩み、全国から志のある者たちが集まり、学問に切磋琢磨する長崎での日々を通して、身分制度に何かを真正面から切り結ぶことになります。
良順は将軍であろうと新選組であろうと被差別階級の人々であろうと別け隔てなく診察しようとするし、寛斎は幕府軍・官軍関係なく戦傷者を助けようとします。

そして忘れてはならないのが、この動乱期、科学の発展のために理解を示し、ときには私財を投げ打ってでも出来うる限りの支援を行った幕府官僚、商人、外国人たちがいたこと。
剣戟のシーンなどはありませんが、ある意味志士よりも情熱的な人間模様でございます。

胡蝶の夢〈第1巻〉 (新潮文庫)胡蝶の夢〈第1巻〉 (新潮文庫)
著者:司馬 遼太郎
新潮社(1983-11)
おすすめ度:4.5
販売元:Amazon.co.jp
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仁-JIN-
昨年のオンエア時、面白いよということをいろんなところで聞いてました。
ようやく近所のGEOの80円セールで1巻を手に取り鑑賞。
連ドラなんて久々だなあ。

噂に違わぬ面白さで。ちょうど上に書いた「胡蝶の夢」を読了したところだったので、登場人物も含め、当時の医療の事情も入っていたので、予習はバッチリでした。(「細菌」自体存在が知られていないから、「消毒」という発想もない、とか。)

人助けが、歴史を変えてしまうかもしれないというジレンマ。なかでも将来生まれるひとがちゃんと生まれるように、今生きている人を見殺しにするのは正しいことなのか、というのは究極の選択ですね。主人公が医師であるだけになおさら。タイムスリップものは古今数多いですが、この問いはすごく深い。

内野聖陽の坂本龍馬も小日向文世の勝海舟も良かった。来春、続編があるということで楽しみにしています。

JIN-仁- DVD-BOXJIN-仁- DVD-BOX
出演:大沢たかお
角川映画(2010-03-17)
おすすめ度:4.5
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……よく考えたら、例の186歳男性って、これらの作品の登場人物より年上なんだよな。。。。
ありえね〜、186歳男性戸籍あった! (2/2ページ) - 社会 - SANSPO.COM