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東京国立博物館北斎展を見に行く。

初めて知ったのだが、北斎という人は、90歳という生涯の中で、
どんどん新しい表現技法を取り入れ、ペンネームも変えて行ったという、いわば変幻自在の人だ。
したがって教科書に出て来る「葛飾北斎」とうのも一ペンネームに過ぎず、
最晩年の作品には「画老狂人卍」なんていう、現在でも通用しそうな粋な名前も残している。

今回の展示は作品群を年代別(≒ペンネーム別)に並べているが、
これがまた凄い量(500点!)である。
混んでいる上にこの作品数ということで、早いペースで見たつもりが、軽く二時間はかかってしまった。
ゆっくり鑑賞しようと思ったらそれこそ半日かかりである。
20代から壮年期にかけてはそれほど有名な作品もなく、
見る人によっては退屈で我慢の連続かもしれない。
それだけに終盤に現れる「富嶽三十六景」が眼前に拡がった時の感動もひとしおでしょうね。
ただ風景画のイメージが強い葛飾北斎が、
本の挿絵、宗教画、商品の広告に至まで幅広く作品を残している事実は、きっと新鮮にちがいありません。
そして必ずや「これウチに飾ってみたい」って作品に出会えることでしょう。

来場者は比較的年配の方が多かったです。
そういうわけで横で見てる人たちの話し声なんか聞いていると、
年配の方々の教養が、若い僕なんかには結構ためになったりします。
とくにくずし字なんて読めないのですが、
「秋の風」という、女の人が二人会話している絵の前で、
「もの言えばくちびる寒し秋の風って書いてあるわね」なんて年配の方の話が聞こえて来ると、
「ほぉ〜粋だな〜」なんて思ってより理解が深まるわけです(笑)。

浮世絵は版画ですので、同じ作品でも多数存在するわけです。
浮世絵は印象派の画家たちにも愛されましたし、明治以降、世界中のあちこちに散らばっていったわけです。
一点物ではないってことは、
財力さえあれば僕にもレプリカではなく本物の北斎を手に入れるチャンスが……
なんて思ってしまいました。
この展覧会では、その中でもより状態の良いものを集め展示しているらしく、
「富嶽三十六景」シリーズも日本はもとより、アメリカ、フランス、ドイツと海外から集めたものを
一列に並べていました。
そして当然手作業で刷られたものですから、一点一点微妙に濃淡があったりするということで、
期間中同じ作品が入れ替わったりするとのこと。
(濃淡、と書きましたが、僕は個人的にはあの藍色が好きなので、濃い方がいいです)
その上あの作品数ですので、僕ももう一度行くかもしれません。

上野の森を後にし、昼食は上野薮そばへ(ここは二回目)。
文化の日らしく?日本の伝統に思いを馳せる一日でした。

日本文化に興味のある人、これはオススメの展覧会ですよ(12月4日まで)。